岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読む

 日本のプロ野球やアメリカの大リーグを見てて不思議に思うことがある。選手の戦力は変わらないのに、監督が変わっただけで俄然チームが強くなることがあるからだ。前年度最下位になったチームが監督が変わって今年度優勝なんてことがザラにある。
 監督が変わって何が変わったのであろうか。これは何も野球に限ったことではない。それまで赤字で倒産寸前だった会社が社長が変わっただけで高収益の会社になることもよくある。
 組織というものはあきらかにリーダーによってよくもなれば悪くもなるのであろう。それではすぐれたリーダーとそうでないリーダーとはどこがどう違うのであろうか。もっというとすぐれたリーダーとは育成できるものであろうか。
 日本には過去においてすぐれた企業家がいた。松下幸之助・本田宗一郎・盛田昭夫などの経営者は自分の会社を世界のトップレベルの会社にした。間違いなく社員が優秀というよりも彼らが優秀であったからである。彼らが社員を優秀にしたのである。はたして彼らのような経営者を創りだせるのであろうか。
 考えてみれば日本の教育機関はリーダーになるための教育をしてこなかった。日本人はすぐれたリーダーには持って生まれた資質というものがなければならないとでも思っているのであろうか。すぐれたリーダーについての本はたくさんあるが、すぐれたリーダーになるために論理立てて詳しく説明した本というものはほとんどない。
 すぐれたリーダーを創るためにはすぐれたリーダーとはどのようなものであるかの分析が必要である。その分析を克明に行ったのがドラッカーであり、ドラッカーは組織を動かすマネジメントを科学的に分析し、名著「マネジメント」を書いた。この本はマネージャーがとるべき行動を明確に示している。アメリカではマネージャーとはリーダーのことを言う。野球では監督であり、会社では社長のことである。

 ドラッカーの「マネジメント」の理論を実践的に示したのが岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(プレジデント社)である。この本は小説の形をとってマネジメントがいかに重要であるかを説いている。
 この小説の主人公は川島みなみという女子高生である。彼女は2年の秋に都立程久保高校の野球部のマネージャーになった。程久保高校は進学校であったが、野球部は弱く甲子園は夢のまた夢であった。
 みなみはマネージャーになるとマネージャーとは何かについて学ぼうとひょうんなことからドラッカーの「マネジメント」を買って読んだ。彼女は「マネジメント」を理解し、その理論を実践していった。彼女がまず行ったことは目標を明確にすることであった。そして目標を決めた。それは来年の夏甲子園に行くということである。
 程久保高校の野球部には規律というものがなかった。選手めいめいが勝手に行動していた。練習に出るものもいれば出ないものもいた。趣味で野球をやっているという雰囲気であった。
 みなみはドラッカーの理論を踏まえて選手の意識改革から始めた。さらに練習方法なども変えていった。みなみのマネイジメントによってバラバラになっていたチームは一つにまとまり野球も見違えるように強くなった。そして程久保高校は甲子園初出場を果たしたのである。

 私はこの本を読んで一番感銘したのは<真摯に行動する>ということである。マネジメントの対象は人間である。人間を動かすには何が必要なのか。やはり真摯さなのかもしれない。
 この本にはマネジメントの方法が書かれている。すべて頷けるものである。ドラッカーの理論でいけば成功すると思う。ただ成功するかどうかはどれだけ真摯になれるかであろう。
 リーダーである人、そしてリーダーになろうとしている人には是非とも読んでほしい本である。

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
(2009/12/04)
岩崎 夏海

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