高橋洋一「数学を知らずに経済を語るな!」を読む

日本銀行 現在、政界で不思議なことが起こっている。というより、ある意味、日本の統治機構の真の姿を曝け出しているのかもしれない。
 ここ菅・野田と2代続いた総理大臣が消費税増税を強く打ち出している。2人とも財務大臣出身である。現在の財務大臣も判で押したように消費税増税を唱えている。私が不思議だというのは菅にしても野田にしても、財務大臣になる前に日本の財政を健全化するために消費税を上げよと発言したことを寡聞にして知らないからだ。まして、野党時代、消費税を上げることには反対だったのではないのか。
 明きらかに、菅・野田の2人は役人に洗脳されたとしか思えない。これが、官僚主導から政治主導と訴えて政権を獲得した党の本質である。小泉元首相とは全く違う。小泉は政治家になった頃から、郵政改革を唱えていた。小泉には信念があった。首相になってその信念を実行に移したのである。小泉は大政治家であった。
 大政治家になる要素の1つは、信念を持ったら、それを何が何でも押し通す気概を持つかどうかである。菅・野田には信念のかけらも感じられない。単なる官僚の操り人形のように思える。
 政治家が官僚の操り人形になったら国がどうなるか。あの太平洋戦争に突入した戦前の日本を見れば一目瞭然である。このままトップの政治家が官僚の意のままに動いたら、国は亡びるだけである。消費税を上げることは、それはとりも直さず、官僚システムの増殖に繋がるだけである。
 それではなぜ、財務大臣を経験した人たちは恥ずかしげもなく、政治家としての政治信条を反古にしてまで、財務官僚に簡単に洗脳されるのであろうか。これは、彼らの経済学に対する無知も1つの原因であるが、彼らを支える経済ブレーンたちすなわち経済学者たちが、数学を知らないからではないのか。

 日本の景気が悪いのも財政状態が悪いのも、結局は、マクロ経済学の専門家(財務官僚・日銀マン・経済学者)たちが数学を知らないからであると、私は常々感じていたが、高橋洋一の「数学を知らずに経済を語るな!」を読んで、この感じが確信に変わった。
 高橋は元大蔵官僚で、東大の数学科・経済学科を卒業している。私も大学で数学科に籍を置いていたものだが、高橋の主張していることはほとんど理解できるし、共鳴できる。高橋は数学的に論証しているからだ。なぜ、政治家は高橋の提言を受け入れて、それを実行しないのか。消費税を上げようとしている政治家にはぜひとも「数学を知らずに経済を語るな!」を読んでほしい。
 高橋は消費税を上げる必要はないと主張している。高橋の理屈によると、財政を健全化するためにはプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化すればよく、プライマリーバランスを黒字化するためには、名目GDPの成長率を上げればよい。
 名目GDPを上げるには、規制緩和をして産業界を活性化することである。事実、規制緩和を進めた小泉内閣のときには、プライマリーバランスは黒字化寸前までいった。ただ、規制緩和は官僚が一番嫌うことである。官僚にとって規制は既得権の最たるものであるからだ。
 高橋の理屈はすべて、過去のデータを吟味して数学的に導かれている。誰も否定できないはずである。ところが、数学のできない人はデータの数字そのものを信用しないから、高橋の理屈も信用しない。数学のできない経済学者は主観的に経済を論ずる。こうなっては科学でも何でもない。その最たるものがマルクス経済学である。この経済学を教えている大学は世界では日本の大学だけではないのか。
 日本をギリシャの二の舞にするな。首相・財務大臣・財務官僚の殺し文句である。この文句に何の説得力もないことを、高橋は見事に論証している。

 「数学を知らずに経済を語るな!」は、経済学において数学が絶対的に必要であることを説得力を持って明らかにしている。最低限、高校の数学を知らないと経済学は絶対にわからないとも高橋は力説している。

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(2011/12/23)
高橋 洋一

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